Blender 2.90 がリリースされました。
2.83 の公開から約 3 か月、リリースサイクルの予定通りです。
マルチレゾリューションスカルプティングの完全サポート、Cyclesのビューポートノイズ除去、クロスフィルターなどの機能がアップデートされています。
更新内容が多いので主要な部分のみを紹介しています。
より詳しいリリース内容はこちらをご確認ください。
また、こちらの動画では新機能が 5 分に短くまとめられて紹介されています
UI
サーチ:
・モディファイアーの検索では、関連するモディファイアーとそれらをメニューのどこに見つけるかをより適切に示すために、メニューエントリを検索するようになりました。検索結果を右クリックすることで、クイックお気に入りへの演算子の追加やショートカットの割り当てが簡単になりました。
レイアウト:
・チェックボックスの配置をテキストの右側に調整
・マテリアルプロパティエディタのシェーダノードは、シェーダエディタと一致するソケットカラーを表示し、左側に配置
統計:
・ビューポートに統計表示できる機能を追加
モディファイアー:
・モディファイアーのドラッグアンドドロップでの並べ替えをサポート
・以下のショートカットがデフォルトで有効化されている
削除 – [X] or [Delete]
適用 – [Ctrl] + [A]
複製 – [Shift] + [D]
モデリング
ツール:
・Extrude Manifold: 内側に押し出す際に、隣接する面を自動分割して削除する新しいツール
・ルーラーツールのスナップサポート
・トポロジオペレーター(マージ、削除、ナイフなど)でカスタム法線の方向を保持します。
・ベベルモディファイアーとツールのカスタムプロファイルがベジェカーブハンドルをサポート
UVエディター:
・メッシュを調整する際にUVと頂点カラーも合わせて調整するオプションを追加
・エッジリング選択のサポート
・最短選択のサポート
・選択したUV部分(頂点、エッジ、面)を分離
カーブ:
・カーブの法線はデフォルトで無効
・カーブハンドルの表示方法が「非表示」「選択のみ」「すべて」を選べる
トランスフォーム:
・エッジスライド、頂点スライドが他のスナップタイプをサポート
モディファイアー:
・「海洋モディファイアー」のスプレー方向のマップ生成をサポート
・リンク複製されたオブジェクトでもモディファイアーをシェイプキーとして適用可能
・モディファイアーを削除せずにシェイプキーとして適用可能
スカルプト
マルチレゾリューションモディファイアー(Multires):
・マルチレゾリューションスカルプティングを完全にサポート
・スムーズで線形でシンプルなサブディビジョンを作成できるようになった
・下位のサブディビジョンレベルを再構築し、そのディスプレイスメントを抽出できるようになった
ツール:
・クロスフィルター: メッシュ全体で布シミュレーションを実行する
ブラシ:
・ポーズブラシに「スケール/移動」と「スカッシュ/ストレッチ」を追加
・ポーズブラシには面セットFKモードがあり、面セットを使用してメッシュを変形し、FKリグをシミュレート
グリースペンシル
UI:
・コンテキストメニューの新しいマテリアルセレクタと、Uキーを使用した新しいマテリアルメニュー
・ビデオシーケンサーの注釈に対するオニオンスキニングのサポート
・レイヤーマスクとライトのプロパティがアニメート可能になった
・キャンバスグリッドをオブジェクトの前に配置する新しいオプション
オペレーター:
・ストロークを再投影すると、元のストロークを維持できるようになりました
・ストロークをカーブに変換する時の新しいベベルパラメータ
・メッシュおよびメッシュアニメーションをグリースペンシルストロークに変換
ツール:
・アノテートラインツールはさまざまなタイプの矢印をサポート
モディファイアー:
・UVデータを操作するための新しいテクスチャマッピングモディファイアー
Cycles
CPUレンダリング:
・Intel Embree がCPUのレイトレーシングに使用されるようになった。これにより、モーションブラーのあるシーンでのパフォーマンスが大幅に向上
GPUレンダリング:
・OptiXをサポートするすべてのNVIDIA GPUで使用できるようになった
・CUDAおよびOptiXのNVLinkサポート
・macOSでのNVIDIA GPUレンダリングはサポートされなくなった
ヘアー:
・Embree への切り替えによりヘアカーブのレンダリングが以下の2種類に変更
Rounded Ribbon: 疑似的に丸くした法線を持つフラットなリボンとしてヘアをレンダリング(遠距離用)
3D Curve: ヘアーを3Dカーブとしてレンダリング(近距離用)
大気テクスチャ:
・新しい大気テクスチャは、Nishita の単一散乱空モデルの改良版で、高度の変化とオゾン吸収を考慮している
ノイズ除去:
・Intel OpenImageDenoiseが、3Dビューポートでのインタラクティブなノイズ除去と最終レンダリングでサポート
シャドウターミネーター:
・オブジェクトごとにシャドウターミネーターオフセットの設定が可能。影をシフトしてガタガタを覆うことができる
EEVEE
・モーションブラーの改善
・テクスチャノードのリピートとフィルタモードを修正し、Cycles との一致を改善
・EEVEEにも新しい大気テクスチャを追加
(以前のバージョンでも大気テクスチャ自体はあったようですが、使用すると真っ白になっていた現象が修正されています)
インポート/エクスポート
Alembic:
・負のスケールの行列を適切に補間できるようになった
・オブジェクトデータは、オブジェクトデータ名でエクスポートされるようになった
・パーティクルシステムの名前のスペース、ピリオド、コロンがアンダースコアに置き換えられた。
・USDと同じアプローチを使用してAlembicをエクスポートするようになった
USD:
・ヘアパーティクルシステムは、パーティクルシステム名を使用してエクスポートされるようになった
インスタンス:
・USD と Alembic のエクスポートで、ネストされたインスタンスを正しくエクスポートできるようになった
glTF 2.0:
・インポータ―/エクスポーターの各種機能強化とバグフィックス
物理シミュレーション
流体:
・OpenVDBの流体キャッシング:煙(グリッド)および液体(グリッドと粒子)データは、フレームごとに単一の.vdbキャッシュファイルにキャッシュされるようになった
クロス:
・「圧力」に「流体の密度」が追加。布に入った水などを表現できる
アニメーション/リギング
ライブラリオーバーライド:
・さらに多くのプロパティとデータがオーバーライド可能になった
・オーバーライドは、オーバーライドデータブロックをコピーするときにも複製される
・Python定義のプロパティとカスタムプロパティもオーバーライド可能
・3Dビューからオブジェクトまたはコレクションをオーバーライドすると、依存関係の完全なチェックが行われ、必要なものがすべてオーバーライドされる
・アウトライナーから、選択したデータブロックにつながるリンクされたデータブロックの階層を上書きできる。また、オブジェクトまたはコレクションに適用されると、3DView操作と同様に動作する
・3DViewの「オーバーライドを作成」演算子がアップグレード
・オーバーライドは、個別に、または階層全体として、アウトライナからリセットできる
・リンクされたライブラリ参照が再ロードされると、オーバーライドが再ロードされるようになった
コンストレイント:
・負のスケールの行列を適切に補間できるようになった
ドライバー:
lerp 関数と clamp 関数を namespace に追加
VR
・2.83 から利用可能だったランドマークは有用性が制限されていたが、2.90 で実用的に更新
その他
・Python API の互換性、UI、機能の追加や変更など
・データブロックの複製が改善
・ベイキング: 新しいレイの長さ設定。レイがベイク結果から除外されるまでの距離を制限
・モーショントラッキング: Blenderで動きを解析し、Natron/Nukeで合成できる新しいレンズ歪みモデルが追加
・シーケンサー: 効果を速めるためにフレーム補間オプションを追加
・「BlenderKit」「Collection Manager」アドオンの更新
クレジット
・この記事は、 Blender 2.90 Release Notes – Blender Developer Wiki / CC BY-SA 4.0 を改変して作成しております
・アイキャッチ画像は、Splash Fox by Daniel Bystedt / CC-BY-SA 3.0 を改変して作成しております
リンク
・blender.org
・Daniel Bystedt | ArtStation
・Daniel Bystedt (@3DBystedt) | Twitter
・Daniel Bystedt | YouTubeChannel