Blender 2.92 がリリースされました。
今回のアップデートでは、ジオメトリノードの実装、スカルプト、グリースペンシルの機能強化、CyclesとEeveeの互換性アップなど、様々な更新が行われています。
Blender 2.92 のリリースノートはこちら : https://wiki.blender.org/wiki/Reference/Release_Notes/2.92
ジオメトリノード
・ノードベースのジオメトリ作成、操作システム
・今回のリリースではオブジェクトの散乱とインスタンス化に焦点
・ジオメトリノードのユーザーマニュアルはこちら
・ジオメトリノードのサンプルシーンはこちら
UI
アウトライナー:
・プロパティエディタの同期。データブロックを選択したら、対応するタブに切り替わる。
・選択可能なオブジェクトのみを表示する新しいフィルター
・アウトライナーでライブラリのオーバーライドを一覧表示
一般的な変更:
・各種ダイアログの変更、レイアウトの改善など
モデリング
ツール:
・インタラクティブに標準プリミティブを作成できるツール
モディファイアー:
・選択したすべてのオブジェクトにモディファイアーをコピーするオペレーター
スカルプト
・グラブシルエットオプション
・面セット編集ツールに操作モードが追加され、面セットをクリックしてジオメトリが削除できる
・スカルプトセッション情報を統計に追加
・ディスプレイスメント消去メッシュフィルターの反転を許可
・スネークフックブラシが弾性変形もサポート
・マルチレゾディスプレイスメントスミアブラシ
・フェイスセット編集フェアフェイスセット操作
グリースペンシル
UI:
・補間ツールが編集モードだけでなく描画モードでも表示されるようになった
・Layer Onion Skinが新しいレイヤーではデフォルトで有効
・ドットとストロークのテクスチャを回転するための新しいマテリアルパラメータ
オペレーター:
・選択したフレームに対してのみアニメーションをベイクする新しいオプション
・画像シーケンスをトレースし、グリースペンシルストロークに変換する新しいオプション
・マージオペレーターがポイント間の距離を使用するように改善
・キー間の補間方法が改善
ツール:
・カッターツールを使用した後、ストロークの極端なカットをフラットに設定する新しいオプション
・描画中にストロークを自動マージする新しいオプション
モディファイアーとVFX:
・ストロークがcyclicを使用している場合、サブディビジョンモディファイヤはジオメトリを追加
・テクスチャモディファイヤのドットとストロークのテクスチャを回転する新しいパラメータ
・リンク作成(Ctrl+L)でエフェクトとリンク可能になった
・エフェクトをコピーするための新しい追加メニュー
・配列モディファイアーが均一なランダムスケールをサポート
カーブ編集モード:
・ベジェ曲線を使用してストロークを編集可能になった
Cycles
パフォーマンス:
・ジオメトリのマルチスレッドエクスポート。メッシュ、ヘア、ボリュームオブジェクトが多数ある場合のシーン同期のパフォーマンスを向上
GPUレンダリング:
・GPUデバイスは、現在CPUスレッドによってレンダリングされているタイルを引き継いで、ハイブリッドレンダリングのパフォーマンスを向上させることが可能
・NVIDIA OptiX
- CPUおよびGPUデバイスとのハイブリッドレンダリングをサポート
- AOおよびベベルシェーダーノードをサポート
- OptiX 7.1にアップグレードするため、NVIDIAドライバーのバージョンは450以降が必要
・IntelIrisおよびXeGPUでOpenCLレンダリングを有効にできるようになった
ボリューム:
・NanoVDBグリッドを使用することにより、ボリュームレンダリングのメモリ効率が大幅に向上し
シェーダー:
・属性ノードにEEVEEと共有される新機能として、属性のアルファチャネルを返すアルファ出力ソケットと、属性タイプ(ジオメトリ、オブジェクト、インスタンサー)を追加
ベーキング:
・画像テクスチャに加えて、頂点カラーへのベイク処理をサポート
・OptiXがアクティブな場合、ベイクパネルが有効になる(ただし、ベイクはCUDAで実行)
Eevee
Cryptomatte:
・Cyclesで利用可能だったCryptomatteがEeveeでも利用可能になった。設定はEEVEEとCyclesの間で共有される
AOV:
・AOVはCyclesと同じように機能し、設定はEEVEEとCyclesの間で共有される。AOV出力は、[レンダーレイヤー]タブで定義し、AOV出力ノードを使用してシェーダーマテリアルで使用できる
I/O とオーバーライド
Library Overrides(ライブラリオーバーライド):
・オーバーライドデータブロックのシミュレーションキャッシュの限定的なサポートが追加
・オーバーライドデータブロックでのNLAの初期サポートが追加
・オーバーライドIDからの一部の重いデータは、ローカルの.blendファイルのディスクに書き込まれなくなった
物理シミュレーション
流体:
・APICシミュレーション方法をサポート
・パーティクルサンプリングの改善
・スパースグリッドキャッシング
・粘度シミュレーションの新しい方法が追加
![](https://always3d.com/wp-content/uploads/2021/02/10-physics-viscosity-2.png)
コリジョン:
・クロスにオブジェクトのコリジョンから除外する頂点グループ設定を追加
・モディファイアーを削除せずにコリジョンを無効化できるトグルボタンを追加
アニメーションとリギング
UI:
・再生部分のUIを分かりやすく変更
・アニメーションチャンネルのグループカラーをユーザー設定で無効にできる
・キーフレームの削除に確認ウィンドウが出なくなり、Delete一回で削除できる
オイラーフィルター:
・新しいオイラーフィルターの実装
ベイクアクション:
・Fカーブのベイク後のクリーンアップはオプションになり、デフォルトでは無効になった
コンストレイント用のカスタムオブジェクトスペース:
・コンストレイントのスペース変換リストにカスタムスペースを追加
NLA:
・新しいNLAストリップでは、同期の長さがデフォルトで有効になりストリップの境界の外側にキーフレームを設定できるようになった
・FCurveモディファイアーがストリップに固定されて描画されるようになった
ウェイトペイント:
・自動正規化を使用したウェイトペイントでは、ロックされた変形グループの合計が0.999999を超える場合に、非常に小さいウェイトではなくゼロがペイントされるようになった。
ボーンの変形:
・Preserve Volumeアーマチュア変形メソッドを使用したボーンスケーリングによって発生するアーティファクトが、B-Boneチェーンで修正された
アドオン
Rigify:
・動物の前足、後ろ足のリグ回りの改善など
FBX I / O:
エクスポートにグローバルスペース変換を無効にする新しいオプション「空間トランスフォームを使用(UseSpaceTransform)」が追加
BlenderKit:
・HDR、シーン、パーティクルのサポート、高速化、スナップ機能の改善など
Collection Manager:
・新機能の追加とバグ修正
その他の機能
コンポジター:
・キーイングノードの結果が事前に乗算されるようになった
・露出を調整するための新しいノードの追加
・[レンダリングとして保存]オプションが[ファイル出力]ノードに追加
互換性:
・2.50.9より前のmultiresコードを削除
・Simple multires subdivision typeを削除
・「カメラビューロック」が、設定ではなくオブジェクト相対パネルに表示
モーショントラッキング:
・メニューの再編成、高速化など
シーケンサー:
・メディアトランスフォームの再設計、パネルの追加など
macOS:
・自動でトラックパッドのスクロール方向をシステム環境設定と一致するように設定
クレジット
・この記事は、 Blender 2.92 Release Notes – Blender Developer Wiki / CC BY-SA 4.0 を改変して作成しております。
・アイキャッチ画像は、Blender 2.92 splash screen By Joanna Kobierska / License CC-BY-SA 4.0 を使用しております。